閉経後に激減する骨密度
50代女性が集まると話題になるのが「骨密度」。女性は閉経すると、骨代謝に関わっていた女性ホルモン・エストロゲンの分泌が激減して、骨密度が急激に低下するのです。
しかし、頭では分かっていても、「骨活しないとね~」と食生活も気にし始めていても、実際、定期的に骨密度を計測しているかというと、測っていない人がほとんどです。先日、私が病院で受けた人間ドックの検査項目にもありませんでした(オプションで追加できるところもあり)。
骨密度はどこで測れるの?
では、どこで測れるかというと、病院であれば、主に整形外科や婦人科。骨粗鬆症の疑いがあれば、健康保険が適用されますが、自費の場合、測定方法によっては4000~5000円程度もかかります。
参考:公益財団法人「骨粗鬆症財団」
自治体によっては40歳以上の女性を対象に行っている無料検診があるとのことですが、狙い目は、医療系や体育系大学の学園祭や薬局主催の健康イベント。あとは、大きな病院系列の健康施設でしょうか。これらは無料もしくは安価で計測し、説明もしてくれます。
私が骨密度を測ったのはコロナ前。この年代の女性は年々体調が変わります。この数年で骨がスカスカになっていたとしたら…ちょっと怖くなって、会社の前にある「聖路加健康ナビスポット(るかなび)」に立ち寄って、骨密度を測ってきました(500円で受けられるのでおすすめです)。
骨密度を測ってきました
骨密度の計測方法は主に、①超音波法②MD法③DEXA法とあるようですが、ここでは足首回りを超音波で計測する①の超音波法で、比較的簡易な方法だということでした(スティフネス値で判定)。
結果は…
20歳日本人女性と比べると93%で、同年代の女性と比べると108%。担当の看護師さんは「そこまで心配するレベルではないですよ」と優しく伝えてくれましたが、数年前までは20歳女性同等の密度があり、骨には自信があったので、「激減した」ということになります。
図を見ると、今はギリギリ「問題ない範囲」にいますが、この下降の勢いが続くと「骨減少症の疑いのある範囲」にあっという間に突入するでしょう。現状を知ったことで、意識を高めないとと思い直しました。看護師さんは「2年に1度ぐらいは測りましょう」と言っていましたが、「毎年計測しよう」と心に誓ったのでした。
死ぬまで骨は作り替えられる
骨は、死ぬまで毎日少しずつ作り替えられています。骨は壊され、また作られるを繰り返し、骨吸収と骨形成のバランスを保っていますが、加齢、閉経、栄養、遺伝的・環境的要因などによってそれが崩れると骨量が減少し、骨密度は低下してしまいます。
骨密度の低下を防ぐには、第一に「食事」が大切です。骨を形成するカルシウムやマグネシウム、カルシウムの吸収に必要なビタミンDやビタミンKを不足しないよう摂る必要があります。それぞれの栄養素を多く含む食品を挙げておきます。
カルシウム
・目標量=成人男女1日800mg
・多く含む食品=牛乳・乳製品、ヨーグルト、小魚、豆腐、納豆などの大豆加工品、ひじき、しらす干し、切り干し大根、小松菜、大根の葉、水菜など
ビタミンD
・目標量=成人男女1日8.5㎍
・多く含む食品=鮭、サンマ、マイタケ、干しシイタケ、しらす干しなど
ビタミンK
・目標量=成人男女1日150㎍
・多く含む食品=納豆、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、干しわかめなど
運動も大切、日光浴も
また、運動することで骨を形成する際のカルシウムの利用効率も上がり、「骨の質」も良くなります。骨を強くするには、骨密度だけでなく骨の質も大切です。
運動の基本は体重負荷が骨に伝わる運動を継続すること、屋外での無理のないウォーキング習慣などがおすすめです。ビタミンDは日光に当たることでも体内で生成されるので、1日数十分、屋外でウォーキングをすることはとても良いことです。
将来、ちょっとした転倒で下肢を骨折し、そのまま寝たきり…とならないためにも、今から骨の密度と質を高めて「骨強化」。そのためにバランスが良く、骨の材料を不足させない「食事」と適度な「運動」を意識していきましょう。
骨密度のピークは20歳前後
「骨密度」について意識するのは40~50代になってからの人が多いと思いますが、実は骨密度が高いかどうかは男女とも20歳前後で決まります。10代の食事を含めた生活でその後の骨が決まり、一生を左右してしまうのです。
そんなことを聞いたのは、私もこの仕事を始めるようになってからで、10代の頃には聞いたこともありませんでした。中学・高校生の時代に骨がしっかり作れる、栄養が満たされた状態でないと、骨がスカスカな大人になってしまうのです。例えば、生理が止まるほどの過激なダイエットをしてエネルギー不足の状態が長く続くと、女性ホルモン・エストロゲンが分泌されなくなり骨密度が低下します。
無理なダイエットの弊害、絶対するな
SNSの影響もあり「やせてる方がかわいい」として、ダイエットをする小学生が増えていると聞きます。また体重制限があったり、体重が軽い方が動きやすいとされるアスリートにも無理なダイエットをするケースが多く、その結果、疲労骨折などを引き起こすことも少なくありません。
若いアスリートは目先の目標しか見られないことも多いでしょう。保護者や指導者が減量を強いる場合もあるようです。無理な減量は骨だけでなくメンタルにも悪影響を及ぼし、良いことは全くありません。
とりわけ骨に関しては将来の生活を、自分を苦しめることにつながります。そうならないような食事をとらせることは、親の責任、周りの大人のやるべき仕事だとも思ってます。大人になって苦しんだアスリートを知っているからこそ、強く言い続けます。
注射治療で副作用?
さて先日、70代の先輩から聞いた話です。
転んで腰を痛め、その治療は上手くいってるのに痛みが引かなかったため、念のために骨密度の検査をしたら、股関節の骨がスカスカで若年比較65%の骨粗鬆症の域に入っていた。そのため、骨密度を高める注射を月に1本ずつ、1年かけて計12回打つことになり、今6本終わったところだけど、骨密度が99%にまで上がった。それはいいのだが、右手の中指の節が腫れ上がり痛くて仕方ない。副作用かもしれない…。
その話を薬剤師の友人にしたところ、「そんなに急激に骨密度が上がるのは怖い。骨粗鬆症対策の注射は色々出ているが、身体の中で何が起こっているのか…副作用だとしたらホントに怖い」とのことでした。
医学の発達により、20歳がピークとされている骨密度も、年をとってからでも治療でどうにかなる時代になってきたのかもしれません。それはそれで心強いものですが、副作用があるとなると怖いですし、体に負担がかかります。
何よりも病気にならないのが一番です。寄る年波に抗い、できるだけ骨密度をキープできるよう努めます。